複利とは?経済用語について説明

1. 複利とは

要約

複利の仕組み

複利とは、投資や貯蓄で得られた利息を元本に加算し、その新しい総額に基づいて次の期間の利息を計算する仕組みのことです。このプロセスが繰り返されることで、利息が元本に再投資され、利息が利息を生むという「雪だるま式」の効果が生まれます。

例えば、100万円を年利5%で10年間投資した場合、単利であれば毎年5万円の利息が付き、10年後には150万円になります。しかし、複利の場合は毎年の利息が元本に加わり、10年後には約162万8

複利は、時間の経過と共にその真価を発揮します。最初は小さな額に見える利息も、長期間にわたって複利の効果が加わることで、驚くほど大きな資産に成長する可能性があります。そのため、投資や貯蓄を計画する際には、この複利効果を理解しておくことが重要です。

特に長期的な視点で投資を考える場合、複利は強力なツールとなります。初心者が投資を始める際には、単に利益を追求するだけでなく、複利の力をどのように活用するかを考えることが重要です。

複利と単利の比較
項目 複利 単利
利息の計算方法 元本と利息の合計に利息がつく 元本にのみ利息がつく
資産の増え方 カーブを描くように増加 直線的に増加
運用期間 長期運用に向いている 短期運用に向いている
リスク ハイリスク・ハイリターン ローリスク・ローリターン

複利の計算式

複利計算の基本は「元本」、「利率」、「期間」の三つの要素です。複利計算の公式は次のようになります。\n最終資産額=元本×(1+利率)^期間\nここで、「利率」は年利を意味し、「期間」は年数です。この公式を使って、投資の成長を計算できます。

例えば、10

複利はこのように導きだすことができます。では、単利とはどのように差が出るのでしょうか? もう少し詳しく、単利と複利の計算例を分解してみると…\n条件:10

この例からもわかるように、複利は時間が経つにつれてその効果が顕著になります。特に長期間にわたる投資では、複利の効果が大きくなり、資産の増加に大きく寄与します。

複利計算の例
期間 元本 複利での最終資産額 単利での最終資産額
1年 10,000円 10,500円 10,500円
2年 10,000円 11,025円 11,000円
3年 10,000円 11,576円 11,500円
10年 10,000円 16,289円 15,000円

複利の魔法

複利の真の力は長期間にわたる投資で最も顕著に現れます。時間が経過するにつれて、利息が再投資され、利息がさらに利息を生むことで資産が指数関数的に成長します。この効果は、しばしば「複利の魔法」と称されます。

複利のもう一つの重要な側面は、小さな利率の違いが長期にわたって大きな影響を及ぼすことです。たとえば、年利率が5%の投資と6%の投資では、初めのうちは差が小さいように見えますが、数十年という長期にわたると、その差は非常に大きなものになります。

例として、10

この計算から、1%の利率差が長期にわたると、約14

複利効果の例
年利 30年後の資産額(複利) 30年後の資産額(単利)
5% 43,219円 25,000円
6% 57,434円 30,000円

まとめ

複利は、利息が元本に加算され、その新しい総額に基づいて次の期間の利息が計算される仕組みです。

複利は、時間の経過とともにその効果が大きくなり、長期的な投資において特に有効です。

複利の効果は、利率の大小や投資期間の長短によって大きく変わります。

複利を理解することで、投資や貯蓄をより効果的に行うことができます。

2. 複利の重要性

要約

複利効果のメリット

複利の最大のメリットは、時間の経過とともに資産が指数関数的に増加する「複利効果」です。

複利効果は、投資期間が長くなるほど、そして利率が高くなるほど大きくなります。

複利効果は、投資信託や株などの長期運用で特に効果を発揮します。

複利効果を最大限に活用するためには、長期的な視点で投資を行い、利益を再投資することが重要です。

複利効果のメリット
メリット 説明
資金効率が良い 利益を元本に組み込むことで、より多くの利益を生み出す
時間をかけて資産を増やせる 長期投資に適しており、時間をかけて着実に資産を増やせる
少額から始められる 少額からでも複利効果によって大きな資産を築ける可能性がある
リスク分散が可能 複数の投資商品に分散することで、リスクを軽減できる

複利効果の活用方法

複利効果を最大限に活用するためには、定期的な投資が効果的です。

ドルコスト平均法という方法では、市場の変動に関わらず一定の金額を定期的に投資します。

この方法により、市場の低い時にはより多くの資産を購入し、高い時には少なくなるため、長期的には平均的な購入コストを保ちつつ、複利効果を享受できます。

複利を一番活用できる投資方法は、新NISAの「つみたて投資」です。つみたて投資枠で定期的に積立を行い運用益を再投資し続けることで複利の恩恵を享受できます。さらに、つみたて投資枠の活用によって利益を非課税にすることが最も効率的な投資方法だと言えます。

複利効果を高めるための方法
方法 説明
定期的な投資 市場の変動に左右されずに、安定的に投資できる
ドルコスト平均法 市場の変動に関わらず一定の金額を定期的に投資することで、平均的な購入コストを抑える
つみたて投資 新NISAのつみたて投資枠を活用することで、非課税で複利効果を得られる
分配金再投資 投資信託の分配金を再投資することで、複利効果を高める

複利効果とリスク管理

投資におけるリスク管理も複利の活用には不可欠です。

リスクを適切に管理しながら定期的に投資を続けることで、長期的に安定した成長を目指すことができます。

特に長期投資では、市場の短期的な変動に左右されず、一貫した戦略を維持することが重要です。

複利を最大限に活用するためには、短期的な利益に惑わされず、長期的な視点を保つことが重要です。特に、市場の変動による短期的な損失に動じず、長期的な計画に従って投資を続けることが、複利の力を最大限に引き出すカギとなります。

複利効果とリスク管理
リスク管理 説明
分散投資 複数の投資商品に分散することで、リスクを軽減する
長期投資 短期的な市場の変動に左右されずに、長期的な視点で投資を行う
リスク許容度 自分のリスク許容度に見合った投資商品を選ぶ
情報収集 市場や経済状況の変化を常に把握し、投資戦略を適宜見直す

まとめ

複利は、資産運用において非常に強力なツールです。

複利効果を最大限に活用するためには、長期的な視点で投資を行い、リスクを適切に管理することが重要です。

複利効果は、時間と利率の両方を味方につけることで、より大きな効果を発揮します。

複利を活用することで、長期的な資産形成を効率的に行うことができます。

3. 複利と単利の違い

要約

単利の仕組み

単利は、元本にのみ利息が付く方法です。

複利の場合は利息にも利息が付くため、カーブを描くように資産は増えていきます。

しかし、単利は元本によって生じるため、資産の増え方は年利が一定であれば真っすぐな直線で描けます。

100万円を年5%で運用した場合、1年間で5万円が増えます。この5万円を抜き出して、再び100万円で運用し、年5%なら再び5万円が増え、また5万円を抜き出すという流れで行っていくのが単利です。

単利と複利の計算式
計算式 単利 複利
元利合計額 元本 × (1 + 年利 × 期間) 元本 × (1 + 年利)^期間

複利と単利の比較

100万円を年5%で運用する際、複利と単利でどれだけの差が生じるのか、チェックします。

単利の場合は非常にシンプルです。100万円の5%が利子となるため、毎年5万円が利子として与えられるため、5年で25万円、10年で50万円が増えていきます。

一方、複利の場合は5年でおよそ127万円ほどに、10年で163万円ほどにそれぞれ増えていく計算です。

複利と単利では5年だと2万円ほどの違い、10年だと13万円ほどの違いになり、年数を重ねれば重ねるほどその差はかなり大きくなることは明らかです。

単利と複利の比較
項目 単利 複利
利息の計算対象 元本のみ 元本と利息の合計
資産の増え方 直線的に増加 カーブを描くように増加
運用期間 短期運用に向いている 長期運用に向いている
リスク ローリスク・ローリターン ハイリスク・ハイリターン

単利と複利の計算式

単利の計算式であれば「元本×(1+年利)」で示せます。

先ほど想定した金額と金利を当てはめるならば、100万円×(1+0.05)で105万円です。

一方で複利の計算式は単利ほど簡単ではありませんが、電卓を使えばそこまで難しいものではありません。「元本×(1+年利)ⁿ」が計算式となります。

この場合のnは年数を指しており、5年であれば1.05の5乗を行い、1.2762815625という数字が導き出せるのでここに100万円をかけると、127万6281円と出ます。

単利と複利のシミュレーション
期間 単利での最終資産額 複利での最終資産額
5年 125万円 127.6万円
10年 150万円 163万円
20年 200万円 265万円

まとめ

単利は元本にのみ利息が付くため、運用期間が長くなっても利益は一定です。

複利は利息も元本に加算されるため、運用期間が長くなるほど利益が大きくなります。

複利と単利では、長期的な運用において大きな差が生じます。

資産運用を行う際には、複利の方がより効率的に資産を増やすことができます。

4. 複利の実践例

要約

複利運用と積立投資

基本的に資産運用をする際には複利で行う方がいいとされています。

なぜ複利の方がいいのか、そのメリットをまとめました。

1つのメリットは長く続ければ増え方が増していく点です。

100万円を年5%で運用し、複利と単利で比較すると5年と10年で差がそれなりに開いたことがわかりました。これを15年、20年と延ばしていくと15年では複利運用だと207万円となるため、単利とは32万円の差に、20年だと265万円となり、65万円の差になります。

複利と単利の比較(30年間運用)
期間 単利での最終資産額 複利での最終資産額
30年 400万円 1,750万円

積立投資と複利効果

2つ目は、積立投資ならばさらに増え方が増す点です。

決められた元本を長期間運用することで、資産の増え方はどんどん大きくなる一方、積立投資だとこの増え方がさらに増します。

例えば、毎月1万円を増やしながら年5%で運用した場合、最初1年目の利子は3

運用によって増やせた額は積立額に比例し、単純に10倍して毎月10万円としたら10年目の利益は352万円になります。元本が増えれば利子もその分増えるため、当然のことながら増え方が増します。元手がない人でもコツコツと貯金をするように積立投資を行えば、長い年月でまとまった資金になるでしょう。

積立投資と複利効果
期間 貯金(単利) 積立投資(複利)
5年 60万円 63万円
10年 120万円 163万円
20年 240万円 432万円
30年 360万円 780万円
50年 600万円 1,597万円

複利運用の注意点

一方、複利は複利でデメリットが存在します。

一見するとデメリットはなさそうに見えるかもしれません。どんなデメリットがあるのか、ご紹介します。

1つ目のデメリットは、長期間の資産運用が必須な点です。

複利といってもたった1年であれば単利と全く変わらず、2年であればその差はわずか。長い年数をかけるほど大きな差がつきますが、短い年数ではそれほど差はつきません。

複利運用の注意点
注意点 説明
マイナス運用 利回りがマイナスになると、損失が大きくなる
資金の拘束 運用益を再投資するため、資金が長期間拘束される
リスク許容度 自分のリスク許容度に見合った投資商品を選ぶ必要がある

まとめ

複利は、長期的な資産運用において非常に有効な方法です。

複利効果を最大限に発揮するためには、長期間にわたって投資を継続することが重要です。

積立投資は、複利効果を効率的に活用できる投資方法の一つです。

複利を活用することで、時間をかけて着実に資産を増やすことができます。

5. 複利の応用

要約

複利運用を活用した金融商品

基本的に資産運用をする際には複利で行う方がいいとされています。

ここでは複利運用を活用した金融商品をまとめました。

1つ目は分配金なしの投資信託です。

投資信託には分配金ありと分配金なしがあります。分配金は決まったタイミングで分配される利益であり、元本の利子のような意味合いを持つため、単利での運用と変わりません。

複利運用を活用した金融商品
商品 説明
分配金なしの投資信託 利益を再投資することで、複利効果を高める
iDeCo 掛け金が所得控除され、運用益も非課税
積み立てNISA 年間120万円まで非課税で投資できる
積立投資信託 定期的に投資することで、複利効果を高める

iDeCoと複利効果

2つ目はiDeCoです。

iDeCoは個人型確定拠出年金を指し、毎月の掛け金を積み立てていきつつ、自分が選んだ投資信託などの金融商品で運用を行い、掛け金と運用益の合計が年金となります。

iDeCoの場合、掛け金が所得控除となり、毎月1万円を積み立てていくだけでも2万円以上の節税に。

しかも、運用で得た利益は非課税で、年金受取でも控除があるため、普通に資産運用を行うよりもお得なことが多めです。

iDeCoのメリット
メリット 説明
所得控除 掛け金が所得から控除されるため、税金が安くなる
運用益非課税 運用で得た利益は非課税
年金受取時の控除 年金を受け取る際にも、税金が控除される
長期投資 60歳まで資金を引き出せないため、長期的な資産形成に適している

NISAと複利効果

3つ目は積み立てNISAです。

2024年からは新NISAに統一され、「つみたて投資枠」に一新されます。

つみたて投資枠では年間120万円の枠があり、最大1800万円分まで非課税で保有できます。

最大毎月10万円ずつの積み立て投資を1800万円分まで行える形です。

NISAのメリット
メリット 説明
非課税 投資で得た利益が非課税
年間120万円まで投資可能 まとまった資金で投資できる
投資対象が幅広い 株式、投資信託、REITなど、様々な商品に投資できる

まとめ

複利運用を行う場合、おすすめなのはNISAやiDeCoの活用です。

普通に複利運用をするのと、非課税枠があるNISAや掛け金が控除されるiDeCoで運用するのとでは、税金の額面など諸々の費用に大きな違いが生じます。

NISAは最大1800万円が非課税枠となりますが、年5%ずつ利回りがあったとすれば90万円が利益です。

非課税枠ならば丸々もらえますが、課税対象になれば90万円の20%、18万円が税金の支払いに。同じ投資をするでも枠組を活用するだけで、お得ぶりがまるで異なるのが面白いところです。

6. 複利の歴史と現在

要約

複利の歴史

複利の概念は古く、古代バビロニアや古代ローマの時代から存在していたと考えられています。

しかし、複利が広く知られるようになったのは、17世紀のヨーロッパで、ヤコブ・ベルヌーイやゴットフリート・ライプニッツなどの数学者によって研究が進められたからです。

19世紀には、複利の概念が金融の世界に導入され、銀行や投資会社が複利を用いた商品やサービスを提供するようになりました。

20世紀には、アルバート・アインシュタインが「複利は人類による最大の発明だ」と述べたことで、複利の重要性が広く認識されるようになりました。

複利の歴史
時代 出来事
古代バビロニア 複利の概念が生まれたと考えられている
古代ローマ 複利が用いられていたと考えられている
17世紀 ヤコブ・ベルヌーイやゴットフリート・ライプニッツなどの数学者によって複利が研究された
19世紀 複利が金融の世界に導入され、銀行や投資会社が複利を用いた商品やサービスを提供するようになった
20世紀 アルバート・アインシュタインが複利の重要性を広く認識させた

複利の現在

現代では、複利は金融の世界で広く利用されています。

銀行の定期預金、投資信託、保険など、多くの金融商品が複利を用いて運用されています。

複利は、長期的な資産形成に不可欠なツールとして、多くの投資家によって活用されています。

特に、少額からコツコツと積み立てていく積立投資では、複利効果が大きく期待できます。

複利の現在
分野 活用例
銀行 定期預金
投資信託 分配金再投資型投資信託
保険 積立型保険
資産運用 長期投資、積立投資

複利の未来

複利は、今後も金融の世界で重要な役割を果たしていくと考えられます。

特に、低金利時代においては、複利効果を最大限に活用することが、資産形成の成功に不可欠です。

投資信託や積立投資など、複利効果の高い商品やサービスが今後も開発されていくでしょう。

複利を理解し、活用することで、将来の経済的な安定を築くことができます。

複利の未来
分野 展望
金融商品 複利効果の高い商品やサービスが開発される
投資戦略 複利効果を最大限に活用した投資戦略が普及する
経済 複利が経済成長を促進する役割を果たす

まとめ

複利は、古くから存在する金融の重要な概念であり、現代でも広く活用されています。

複利は、時間の経過とともに資産を指数関数的に増加させる力を持っています。

複利を活用することで、長期的な資産形成を効率的に行うことができます。

複利は、金融の世界で今後も重要な役割を果たしていくと考えられます。

参考文献

複利法の意味と計算方法,具体例 | 高校数学の美しい物語

複利とは?単利との違いや計算方法、複利を活かした効率的な …

複利とは?単利との違いや計算式についてわかりやすく解説 …

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