1. ケースワーカーってどんな仕事？
1-1. 社会福祉のスペシャリスト
ケースワーカーとは、社会福祉の現場で活躍する専門職です。生活に困難を抱える人々に寄り添い、問題解決に向けて支援を行う、いわば“伴走者”のような存在です。相談者の悩みに耳を傾け、必要な支援策を考え、社会資源の活用や関係機関との連携を図るなど、幅広い業務を担います。
1-2. 対象者はさまざま
ケースワーカーが支援する対象者は多岐にわたります。高齢者や障がい者、児童、生活困窮者など、さまざまな背景を持つ人々が対象です。また、DV被害者や虐待を受けた子どもなど、緊急性の高いケースに対応することもあります。
1-3. 働く場所は？
ケースワーカーが働く場所は、主に以下の通りです。
・福祉事務所（生活保護、児童福祉、母子家庭など）
・児童相談所
・病院（医療ソーシャルワーカー）
・高齢者施設
・障がい者施設
・民間社会福祉施設
これらの他にも、地域の包括支援センターやNPO法人など、活躍の場は広がりを見せています。
2. ケースワーカーの主な業務内容
2-1. 相談援助
ケースワーカーの業務の中心となるのが、相談援助です。相談者の悩みに耳を傾け、問題解決に向けて必要な支援を検討します。相談内容に応じて、関係機関との連携や社会資源の活用など、適切な支援プランを立てていきます。
2-2. 調査
相談者の状況を把握するため、家庭訪問や関係者への聞き取りなど、必要な調査を行います。生活保護受給の可否を判断するための資産調査や、児童虐待の事実確認などが含まれます。
2-3. 調整・連携
問題解決に向けて、関係機関との連絡・調整を行います。福祉サービスの利用調整や、医療機関・学校・警察などとの連携も重要な業務です。
2-4. 記録・報告
相談内容や対応状況を記録し、報告書を作成します。ケース記録は、支援の経過を把握し、今後の支援方針を検討する上で重要な資料となります。
2-5. その他の業務
上記の業務以外にも、ケースワーカーはさまざまな業務を担います。地域住民向けの啓発活動や、福祉サービスの広報活動、研修への参加など、業務内容は多岐にわたります。
3. ケースワーカーに必要な知識とスキル
3-1. 社会福祉に関する知識
ケースワーカーには、社会保障制度や福祉サービスに関する幅広い知識が求められます。生活保護制度や児童福祉法、障がい者総合支援法など、関連する法律や制度を理解していることが必要です。
3-2. 援助技術
相談者の問題解決に向けて、適切な援助を行うための技術が必要です。傾聴力やコミュニケーション能力、アセスメント能力、問題解決能力など、相談援助の専門的なスキルが求められます。
3-3. 法的知識
ケースワーカーは、法律に基づいて業務を行います。そのため、民法や刑法、行政法など、基本的な法律知識を身につけておく必要があります。
3-4. 倫理観
ケースワーカーは、相談者のプライバシーや人権を尊重し、倫理的な行動が求められます。守秘義務を守り、常に公正・中立な立場で業務を行うことが重要です。
3-5. ストレ耐性
ケースワーカーは、困難な状況にある人々と向き合う仕事です。そのため、ストレス耐性や精神的な強さが必要です。また、困難なケースに直面した際に、冷静に対処できる能力も求められます。
4. ケースワーカーになるには？資格とキャリアパス
4-1. ケースワーカーに必須の資格
ケースワーカーになるために必須の資格はありません。しかし、社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を取得していると、就職やキャリアアップに有利になります。また、地方公務員として福祉事務所で働く場合は、社会福祉主事任用資格を取得する必要があります。
4-2. 社会福祉士
社会福祉士は、相談援助のスペシャリストとして、福祉に関する幅広い知識と技術を習得した国家資格です。受験資格を得るためには、大学や専門学校で所定の単位を取得するか、実務経験が必要となります。
4-3. 精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神障がいに関する専門知識と技術を持ち、相談援助を行う国家資格です。受験資格は、社会福祉士と同様に、大学や専門学校での単位取得や実務経験が必要です。
4-4. キャリアパス
ケースワーカーとしてのキャリアパスはさまざまです。福祉事務所や児童相談所などの公的機関で働くほか、病院や高齢者施設、障がい者施設など、民間施設で働く道もあります。また、経験を積んでスーパーバイザーや管理職を目指すことも可能です。
5. ケースワーカーのやりがいと大変さ
5-1. やりがい
ケースワーカーの仕事は、人の人生に深く関わる責任の重い仕事です。しかし、その分、相談者の問題解決に貢献できたときの喜びは大きく、やりがいを感じられる仕事でもあります。相談者から感謝の言葉を伝えられたり、自立に向けて歩み出す姿を見守れたりすることは、ケースワーカーにとって大きな励みとなります。
5-2. 大変さ
ケースワーカーは、常にさまざまな課題に直面します。業務量が多く、残業や休日出勤が発生することもあります。また、相談者の困難な状況に直面することで、精神的な負担を感じることも少なくありません。さらに、関係機関との調整や、制度の複雑さなど、業務上の困難も伴います。
5-3. それでもケースワーカーを続ける理由
ケースワーカーの仕事は大変ですが、社会的に意義のある仕事であり、多くの人々から必要とされています。困っている人を支援したい、社会貢献したいという思いを持つ人にとっては、やりがいを感じられる仕事と言えるでしょう。
