金融派生商品とは?経済用語について説明

金融派生商品に関する項目
項目 内容
金融派生商品とは 原資産の価格を基準に価値が決まる金融商品
金融派生商品の種類 先物取引、オプション取引、スワップ取引など
金融派生商品の利用目的 リスクヘッジ、価格発見、市場の活性化
金融派生商品のメリット リスクヘッジ、レバレッジ効果、差金決済、売りから取引可能
金融派生商品のデメリット 複雑な仕組み、リスクの大きさ
金融派生商品の取引方法 先物取引、オプション取引、スワップ取引など
金融派生商品の将来性 進化、規制、役割

1. 金融派生商品とは

要約

金融派生商品とは何か?

金融派生商品とは、株式や債券、通貨、原油、金といった原資産の価格を基準に理論価格が決まる金融商品の総称です。デリバティブは「~から作られた」という意味を表す英語「derived」を語源としており、日本語では「金融派生商品」と呼ばれています。

原資産とデリバティブは、原材料と加工品の関係にあります。例えば、小麦が原材料、パンが加工品という関係にあるとするなら、日経平均株価が原材料、日経平均先物は原材料から派生する加工品という位置づけです。

デリバティブ取引の目的は、主にヘッジ(回避)、投機の2つです。ヘッジとは、取引や資産・負債などから生じるリスクを減少させることです。投機とはリスクをとってより高い利益を狙うことを指します。

デリバティブ取引は主に3つに分類できます。各取引の概要について解説します。

デリバティブの種類
種類 説明
先物取引 将来の特定の期日に、あらかじめ決められた価格で売買を行う約束をする取引
オプション取引 将来の特定の期日に、あらかじめ決められた価格で売買を行う権利を売買する取引
スワップ取引 将来の特定の期日に、金利や通貨などのキャッシュフローを交換する取引

金融派生商品の歴史

デリバティブ取引は1970年代にその原形としての取引が始まり、現在の形としては72年に円やマルクの通貨先物がシカゴ商業取引所(CME)に上場されたのが始まりである。

デリバティブは、本来は株式や為替などの取引で生じる損失を回避するために開発された高度な金融技術を使った金融商品です。

英語でfinancial derivativesといい,単にデリバティブとも称する。将来の相場の変動を予測して行う先物取引や変動金利と固定金利を交換する金利スワップ取引,異なる通貨建ての債務を交換する通貨スワップ取引,オプション取引などをさす。

デリバティブ取引は、金融市場におけるリスクを分散したり、リスクを抑えたりするために使われます。金融派生商品は、資産価値の変動によって投資家に利益をもたらす可能性があります。

デリバティブ取引の目的
目的 説明
リスクヘッジ 取引や資産・負債などから生じるリスクを減少させる
投機 リスクをとってより高い利益を狙う

金融派生商品の種類

金融派生商品には、期間を指定した金融商品(期間限定商品)、金融商品の価格変動によって投資家に利益をもたらす金融商品(オプション)、金融商品の価格変動によって投資家に利益をもたらす金融商品(スワップ)などがあります。

金融派生商品を取引するためには、投資家は金融市場の変動を正確に把握し、取引のリスクを理解し、取引戦略を立てる必要があります。

また、金融派生商品の取引を行うには、専門的な知識が必要となります。

金融派生商品は、金融市場の基本的な価格変動を反映した金融商品です。金融派生商品は、金融市場の変動を反映した投資ツールとして、多くの人々にとって非常に有用なものです。

まとめ

金融派生商品は、株式や債券などの伝統的な金融商品とは異なった値動きをするため、利用には知識が必要です。

金融派生商品は、原資産の価格変動を予測し取引する際に用いられます。

金融派生商品は、ヘッジ取引に最も適しています。例えば、保有する原資産価格のボラティリティが拡大すると予想する場合、オプションや先物取引を用いればボラティリティの変動に対してヘッジすることができます。

金融派生商品は、投資家の投機的な行動を助長し、市場のボラティリティを過度に拡大させる金融商品として批判されるケースがあります。2008年に米国の不動産バブル(サブプライム)が崩壊したことは金融派生商品の短所を示す良い例です。

2. 金融派生商品の種類

要約

先物取引

先物取引とは、あらかじめ定められた将来の期日における取引条件(数量や金額など)を現時点で決めておく取引のことです。

原油や小麦、トウモロコシなどの商品を対象とした取引である「商品先物」と、日経平均やTOPIXなどの金融商品を対象とした「金融先物」の2種類があります。

先物取引を利用することで価格変動リスクを回避(ヘッジ:Hedge)することができます。価格下落リスクに備える売りヘッジと価格上昇リスクに備える買いヘッジがあります。

本来の先物取引の意義とするれば、数年後の売買の価格を決定することで価格の急激な変化に備えるものなので、小さな価格の変化による多少の損益には注目されません。したがって、売買の約束をした側にとっても、された側にとっても、将来の売買の安定を約束されたことによるwin-winの取引になります。

先物取引の種類
種類 説明
商品先物取引 原油や小麦、トウモロコシなどの商品を対象とした取引
金融先物取引 株価指数や債券、金利などを対象とした取引

オプション取引

オプションとは、将来のあらかじめ定められた期日に、事前に定めた条件で売買をする権利のことをいい、この権利を売買するのがオプション取引です。

先物取引があらかじめ定めた条件で取引をしなければならないのに対し、オプション取引は定められた条件で取引をしてもしなくても問題ありません。

期日までに定められた条件で買う権利のことをコールオプション、売る権利のことをプットオプションといいます。

さらにオプション取引は、コールオプションを買う「コールオプションの買い」、コールオプションを売る「コールオプションの売り」と、プットオプションを買う「プットオプションの買い」、プットオプションを売る「プットオプションの売り」に分かれます。

オプション取引の種類
種類 説明
コールオプション 将来の特定の期日に、あらかじめ決められた価格で原資産を買う権利
プットオプション 将来の特定の期日に、あらかじめ決められた価格で原資産を売る権利

スワップ取引

スワップとは交換という意味があり、定期的に決められた期間「交換し続ける」取引のことを指します。

同じ通貨で異なる金利タイプの利息を交換する「金利スワップ」や、異なる通貨の元本と利息を交換する「通貨スワップ」、通貨スワップの一種で利息のみ交換する「クーポンスワップ」などがあります。

金利スワップを例に、具体例を見ていきましょう。

例えば、固定金利の金利負担が大きくなり、より金利の低い変動金利に借り換えたいAさんと、今後金利が上昇しそうなので、金利の変動リスクを抑えたいBさんがいたとします。この場合AさんとBさんのローンを交換し、Aさんが変動金利、Bさんが固定金利を返済すれば解決するでしょう。

スワップ取引の種類
種類 説明
金利スワップ 同じ通貨で異なる金利タイプの利息を交換する取引
通貨スワップ 異なる通貨の元本と利息を交換する取引
クーポンスワップ 通貨スワップの一種で利息のみ交換する取引

まとめ

デリバティブは、株式や債券、通貨、原油、金といった原資産の価格を基準に価値が決まる金融商品の総称です。

金融派生商品は原資産自体を購入することはありません。この金融商品は原資産の価格変動を予測し取引する際に用いられます。

金融派生商品のポジションを保有する際は通常、売り手と買い手との契約となります。店頭または証券取引所で取引できます。

個人投資家に最も人気のある金融派生商品は、差額決済取引(CFD)です。CFD取引はポジションを保有した時の価格と清算価格の差額で損益が発生します。現物の受け渡しは発生しません。

3. 金融派生商品の利用目的

要約

リスクヘッジ

デリバティブの最も重要な役割・機能として、リスク・ヘッジが挙げられます。

取引を行う人にとっては、絶えず変動する金融商品の価格などは、リスクと言えます。

このようなリスクがあるからこそ、収益が得られるとして、取引を行う人もいますが、特に、金融取引だけに留まらない実需に基づいた取引を行う人にとっては、金融商品の価格変動などが大きければ困ってしまいます。

例えば、貿易などを行っている人にとっては、為替レートが絶えず変動しますが、その変動は小さいほうがいいと言えます。

価格発見

デリバティブという金融商品があることで、1つの金融資産について、現物市場とデリバティブ市場という2つの市場が生まれることになります。

この2つの市場は当然ながら、関連はしているのですが、違う値動きをすることがあり得ます。

現物においては、あくまでも相対取引なので、市場外で取引が行われたり、その取引を行う人たちの交渉力などから影響を受けたりもします。

しかし、デリバティブ市場においては、そのようなしがらみなどはなく、多くの取引者が参加した市場で価格が形成されます。

市場の活性化

デリバティブ市場があることで、金融商品に多様性が生まれ、金融市場全体が活性化することが期待できます。

例えば、デリバティブがなく、現物だけで取引が行われていれば、価格下落時に投資を行おうとするものは少なくなります。

しかし、デリバティブがあれば、リスク・ヘッジなどを行うことで、取引を行おうとするものが出てきたりもします。

また、1つの金融資産について、現物市場とデリバティブ市場の2つが生じることになるので、その2つの市場の間での価格差などが生じ、その価格差を利用して収益を行うとする裁定取引も活発化したりもします。

まとめ

デリバティブは、リスクヘッジ、価格発見、市場の活性化といった役割を担っています。

デリバティブは、金融市場の安定化、効率化、透明性の向上に貢献しています。

デリバティブは、投資家の選択肢を広げ、金融市場の活発化に貢献しています。

デリバティブは、金融市場の複雑化、リスクの増大、不正行為の発生といった課題も抱えています。

4. 金融派生商品のメリットとデメリット

要約

メリット

デリバティブを利用することで、原資産の値動きのリスクを回避できます。

例えば、A社は毎年小麦を仕入れていて、干ばつにより小麦価格が高騰するようなことがあると、A社は仕入れコストの負担が増加してしまいます。

そこで、A社は仕入業者と小麦の先物取引であらかじめ仕入価格を決めておくことで、仕入れコストの増加を回避できるというわけです。

レバレッジとは「てこの原理」のことで、少ない資金で大きな金額の取引ができることを指します。レバレッジを活用することで、大きな利益が狙うことが可能です。

金融派生商品のメリット
メリット 説明
リスクヘッジ 原資産の値動きのリスクを回避できる
レバレッジ効果 少ない資金で大きな金額の取引ができる
差金決済 原資産の受け渡しは将来行われ、取引によって生じた損益の受け渡しのみを行う
売りから取引可能 原資産価格が下落局面でも利益を出すことができる

デメリット

デリバティブはレバレッジをかけられるため、自己資金が少なくても大きな取引が可能です。利益が出たときのプラスは大きくなりますが、損失が出たときのマイナス幅も大きくなる傾向があるため注意が必要です。

デリバティブに関連する商品は複雑で、リスクの大きさが想定しにくいため、取り扱う際は商品の内容を十分理解するよう心がけましょう。

一般的な債券にデリバティブを組み込んだ仕組債のように、苦情や相談が増加して多くの金融機関で勧誘停止、あるいは制限を加えているような商品もあります。

デリバティブは、リスクヘッジができる、レバレッジ取引で大きな利益が出せる、下落局面でも利益が出せる、夜中も取引ができるというメリットがある反面、仕組みが複雑で、リスクが大きい商品である点は心得ておきましょう。

金融派生商品のデメリット
デメリット 説明
複雑な仕組み 仕組みが複雑で、リスクの大きさが想定しにくい
リスクの大きさ レバレッジ効果によって、大きな損失を被るリスクも伴う

デリバティブ取引のリスク

デリバティブ取引は、レバレッジ効果によって、少ない資金で大きな利益を得ることが可能ですが、同時に大きな損失を被るリスクも伴います。

デリバティブ取引は、原資産の価格変動に連動して損益が決まるため、原資産の価格が予想外の動きをした場合、大きな損失が発生する可能性があります。

また、デリバティブ取引は、複雑な仕組みを持つため、理解せずに取引を行うと、思わぬ損失を被る可能性があります。

デリバティブ取引を行う際には、十分な知識と経験を積むことが重要です。

まとめ

デリバティブは、リスクヘッジや投機など、様々な目的で利用される金融商品です。

デリバティブは、高いリターンを得る可能性を秘めている一方で、大きなリスクも伴います。

デリバティブ取引を行う際には、商品の仕組みを理解し、リスクを十分に認識した上で、慎重に判断することが重要です。

デリバティブ取引は、専門的な知識や経験が必要となるため、初心者の方は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

5. 金融派生商品の取引方法

要約

先物取引の取引方法

先物取引は、将来の特定の期日に、あらかじめ決められた価格で売買を行う約束をする取引です。

先物取引は、商品先物取引と金融先物取引に分けられます。

商品先物取引は、原油や小麦、トウモロコシなどの商品を対象とした取引です。

金融先物取引は、株価指数や債券、金利などを対象とした取引です。

オプション取引の取引方法

オプション取引は、将来の特定の期日に、あらかじめ決められた価格で売買を行う権利を売買する取引です。

オプション取引は、コールオプションとプットオプションに分けられます。

コールオプションは、将来の特定の期日に、あらかじめ決められた価格で原資産を買う権利です。

プットオプションは、将来の特定の期日に、あらかじめ決められた価格で原資産を売る権利です。

スワップ取引の取引方法

スワップ取引は、将来の特定の期日に、金利や通貨などのキャッシュフローを交換する取引です。

スワップ取引は、金利スワップ、通貨スワップ、クーポンスワップなどに分けられます。

金利スワップは、同じ通貨で異なる金利タイプの利息を交換する取引です。

通貨スワップは、異なる通貨の元本と利息を交換する取引です。

まとめ

デリバティブ取引は、先物取引、オプション取引、スワップ取引など、様々な取引方法があります。

デリバティブ取引は、複雑な仕組みを持つため、取引を行う際には、十分な知識と経験を積むことが重要です。

デリバティブ取引は、専門的な知識や経験が必要となるため、初心者の方は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

デリバティブ取引は、リスクヘッジや投機など、様々な目的で利用されています。

6. 金融派生商品の将来性

要約

金融派生商品の進化

金融派生商品は、今後も投資家のニーズに応えるために改良されていくと考えられます。

例えば、投資家がリスクを分散しながらリターンを最大化したい場合、金融派生商品を使用することができます。

また、投資家が投資を長期的に維持したい場合、金融派生商品を使用することで、投資期間を延長することができます。

さらに、金融派生商品は、今後も新しい投資機会を提供する可能性があります。

金融派生商品の規制

金融派生商品は、複雑な仕組みを持つため、リスク管理が難しいという側面があります。

そのため、金融当局は、金融派生商品の取引を規制し、市場の安定化を図っています。

金融派生商品の規制は、今後も強化されていく可能性があります。

金融派生商品の規制は、投資家の保護、市場の安定化、金融システムの健全化に貢献しています。

金融派生商品の役割

金融派生商品は、リスクヘッジ、価格発見、市場の活性化など、金融市場において重要な役割を果たしています。

金融派生商品は、金融市場の効率性、流動性、透明性を向上させる役割を担っています。

金融派生商品は、投資家の選択肢を広げ、金融市場の活発化に貢献しています。

金融派生商品は、金融市場の複雑化、リスクの増大、不正行為の発生といった課題も抱えています。

まとめ

金融派生商品は、今後も金融市場において重要な役割を果たしていくと考えられます。

金融派生商品は、投資家のニーズに応えるために進化し、より複雑化していく可能性があります。

金融当局は、金融派生商品のリスク管理を強化し、市場の安定化を図る必要があります。

金融派生商品は、金融市場の効率性、流動性、透明性を向上させる可能性を秘めていますが、同時にリスクも伴います。

参考文献

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