ラウマ旧市街とは？世界遺産についての解説

ラウマ旧市街の概要
項目	内容
歴史	1442年創設、フィンランドで3番目に古い町
位置	フィンランド西海岸、ボスニア湾に面する
人口	約4万人
世界遺産登録	1991年、北欧最大規模の木造建築群として登録
主な産業	かつては造船業やレース産業、現在は工業都市
特徴	カラフルな木造建築、ボビンレース、独特の方言

1. ラウマ旧市街の歴史と文化

ラウマの起源と発展

ラウマはフィンランド西海岸に位置する、人口約4万人の都市です。1442年にスウェーデンの法制の元で特権を付与された町として誕生し、フィンランドで3番目に古い町として知られています。ラウマは、かつては港町として、造船業やレース産業を主要産業として発展してきました。特に、18世紀には高品質のレース産業でその名を知られるようになり、現在も伝統工芸としてボビンレースが有名です。

ラウマの町は、15世紀にフランシスコ会の修道院とカトリックの教会が建設された場所に誕生しました。その後、港町として発展し、交易の中継地として重要な役割を果たしていました。しかし、1640年と1682年の大火で町の大半が焼失し、現在のラウマ旧市街は、18世紀以降に再建されたものです。

18世紀以降、ラウマは海運業で繁栄し、1897年にはフィンランド最大の船団を保有していました。物財のおもな輸出先はドイツ、ストックホルム、バルト諸国などでした。また、1890年代にはラウマに教員養成大学が設立されました。これは後にトゥルク大学に併合されましたが、教育学部は今もラウマ市内にある。

第二次世界大戦後は、造船業、製紙・パルプ工業、金属工業などを主力とする工業都市としての発展を遂げ、フィンランド第5位の港となりました。ラウマには、船乗りの町としての過去に関係して、スウェーデン語や英語から引き継がれている要素を持つ独特のフィンランド方言が残っています。

ラウマの歴史
時期	出来事
1442年	スウェーデンの法制の元で特権を付与され町として誕生
15世紀	フランシスコ会の修道院とカトリックの教会が建設
1640年、1682年	大火で町の大半が焼失
18世紀以降	再建、海運業で繁栄
1890年代	教員養成大学設立
第二次世界大戦後	工業都市として発展
現在	観光都市として発展

ラウマ旧市街の世界遺産登録

ラウマ旧市街は、1991年にユネスコの世界遺産に登録されました。登録された理由は、北欧最大規模の統一感のある木造建築群であり、中世の街並みを忠実に再現した保存状態の良さが評価されたためです。

ラウマ旧市街は、約0.3㎢のエリアに約600軒の木造家屋が立ち並び、約800人が暮らしています。ほとんどの家屋は私有物で、一般市民が暮らしていますが、2つの大通り沿いと町の広場の周りでは、おもにビジネス目的に使われています。

ラウマ旧市街は、1640年と1684年の大火で焼失したこともあって、現存する最古の家屋は18世紀のものである。ほとんどの家屋は私有物で、一般市民が暮らしているが、2つの大通り沿いと町の広場の周りでは、おもにビジネス目的に使われている。

特に目を惹く建造物は水夫の家であったキルスティ (Kirsti) と、船主の家であったマレラ (Marela) である。前者は18世紀から19世紀に建造されたもので、後者はファサードのみ19世紀のものだが基本的には18世紀の建造物である。これらはともに現在博物館になっている。

ラウマ旧市街の世界遺産登録
登録年	1991年
登録基準	北欧独自の都市構造、再建された建造物の保存状態の良さ
評価ポイント	木造の建築物と北欧独自の都市構造がそのまま残っている

ラウマの伝統工芸：ボビンレース

ラウマは、ボビンレースという伝統工芸でも有名です。ボビンレースは、専用の枕（ピロー）の上にデザイン画（型紙）をおき、デザインにそって刺されたまち針に、何十個ものボビンのレース糸を絡ませて作成する、とても繊細なレースです。

17世紀にラウマに伝えられたボビンレースは、18世紀にはヨーロッパで貴婦人がドレスにレースを装飾することが流行し、特にラウマ・レースは質が高いことで有名になりました。現在でも、ボビンレースはラウマの町を代表する工芸品であり、展示会なども頻繁に開催されています。

7月下旬には「レース・ウイーク」というイベントが開催され、街中がレースの魅力に包まれます。このイベントでは、ボビンレースの実演やレース作品の展示が行われ、世界中からレース愛好家が集まります。

ラウマのボビンレースは、伝統的な技術と美しさを兼ね備えた、貴重な工芸品です。

ボビンレース
起源	17世紀にラウマに伝わる
特徴	専用の枕にデザイン画を置き、まち針にレース糸を絡ませて作成する繊細なレース
有名になった理由	18世紀にヨーロッパで貴婦人がドレスにレースを装飾することが流行、ラウマのレースは質が高いことで有名になった
現在	伝統工芸として受け継がれ、展示会なども開催されている
イベント	7月下旬に「レース・ウイーク」が開催される

まとめ

ラウマは、フィンランドで3番目に古い歴史を持つ町であり、1442年の創設以来、港町として発展してきました。1640年と1682年の大火で町の大半が焼失したものの、18世紀以降に再建され、現在も美しい木造建築群が残っています。

ラウマは、海運業やレース産業で栄え、独特のフィンランド方言も残っています。現在も、伝統工芸のボビンレースや、歴史的な街並みが魅力です。

ラウマ旧市街は、1991年にユネスコの世界遺産に登録され、フィンランドを代表する観光スポットとなっています。

ラウマは、歴史と文化、そして自然が調和した魅力的な町です。

2. ラウマ旧市街の建築様式

木造建築の街並み

ラウマ旧市街は、北欧最大規模の木造建築群で知られています。約600軒の木造家屋が立ち並び、そのほとんどは18世紀以降に再建されたものです。

これらの建物は、ニュー・ルネサンス様式を採用しており、カラフルな外観が特徴です。街を歩くと、まるで絵本の世界に迷い込んだような気分になります。

ラウマの建物がカラフルな理由は諸説ありますが、その中でも有力な説として、長い航海からラウマに戻った船乗りたちが自分の家をわかりやすく認識できるよう、敢えて目立つ色にしたと言われています。

ラウマ旧市街は、伝統的な北欧の木造建築が美しい保存状態で残されている優れた例として、1991年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。

木造建築
特徴	北欧最大規模の木造建築群
建築様式	ニュー・ルネサンス様式
色	カラフルな外観
保存状態	良好
登録理由	北欧独自の都市構造、再建された建造物の保存状態の良さ

石造建築物

ラウマ旧市街には、木造建築だけでなく、石造建築物もいくつか存在します。

聖十字架教会は、15世紀後半に建てられた石造りの教会で、ラウマ旧市街のシンボル的な存在です。教会内には、16世紀に描かれた印象的な壁画やアーチ式の天井画を見ることができます。

また、1776年建造のタウンホールも石造りの建物です。現在はラウマ博物館として利用されています。

ラウマ旧市街は、木造建築と石造建築が調和した美しい街並みです。

石造建築
建物	特徴
聖十字架教会	15世紀後半に建てられた石造りの教会、ラウマ旧市街のシンボル
タウンホール	1776年建造、現在はラウマ博物館として利用されている

建築様式の変遷

ラウマ旧市街は、1640年と1682年の大火で焼失したため、現在の街並みは18世紀以降に再建されたものです。

そのため、ラウマ旧市街には、中世の雰囲気と18世紀以降の建築様式が融合した独特の景観が見られます。

ラウマ旧市街は、歴史と現代が調和した、美しい街並みです。

ラウマ旧市街の建築様式は、長い歴史の中で変化を遂げてきました。

まとめ

ラウマ旧市街は、北欧最大規模の木造建築群で知られています。

18世紀以降に再建された建物は、ニュー・ルネサンス様式を採用しており、カラフルな外観が特徴です。

ラウマ旧市街には、聖十字架教会やタウンホールなど、石造建築物も存在します。

ラウマ旧市街は、木造建築と石造建築が調和した、美しい街並みです。

3. ラウマ旧市街の観光名所

聖十字架教会

聖十字架教会は、15世紀後半に建てられた石造りの教会で、ラウマ旧市街のシンボル的な存在です。

元々はフランシスコ修道院の教会として建てられ、灰色の花崗岩を使った石造りの二廊式の教会となっています。

教会内では、16世紀に描かれた印象的な壁画やアーチ式の天井画を見ることができます。特に、天井に描かれた豪華なフレスコ画は圧巻です。

教会ならではの重厚な雰囲気に心が休まります。

聖十字架教会
建築時期	15世紀後半
建築様式	石造りの二廊式教会
見どころ	16世紀の壁画、天井画、フレスコ画
特徴	ラウマ旧市街のシンボル

キルスティ・ハウス

キルスティ・ハウスは、18世紀中頃の裕福な航海士の家です。

現在は博物館として公開されており、当時の裕福な家庭の生活の様子を見ることができます。

キルスティ・ハウスは、ラウマの歴史と文化を学ぶことができる貴重な場所です。

キルスティ・ハウスは、ラウマ旧市街の代表的な観光スポットの一つです。

キルスティ・ハウス
建築時期	18世紀中頃
用途	裕福な航海士の家
現在	博物館として公開
見どころ	当時の裕福な家庭の生活の様子

マレラ・ハウス

マレラ・ハウスは、船主が3世代に渡って住んだ家です。

現在は博物館として公開されており、当時の船主の生活の様子を見ることができます。

マレラ・ハウスは、ラウマの豊かな歴史を感じることができる場所です。

マレラ・ハウスは、ラウマ旧市街の代表的な観光スポットの一つです。

マレラ・ハウス
建築時期	18世紀
用途	船主の家
現在	博物館として公開
見どころ	当時の船主の生活の様子

まとめ

ラウマ旧市街には、聖十字架教会、キルスティ・ハウス、マレラ・ハウスなど、歴史的な建造物が数多く存在します。

これらの建造物は、ラウマの歴史と文化を物語る貴重な遺産です。

ラウマ旧市街を訪れる際には、これらの建造物をぜひ見学してみてください。

ラウマ旧市街は、歴史と文化、そして自然が調和した魅力的な観光地です。

4. ラウマ旧市街の世界遺産登録プロセス

世界遺産登録の基準

ラウマ旧市街は、ユネスコの世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました。

登録基準(iv)：ラウマ旧市街は、北欧独自の都市構造を持ち、再建された建造物も保存状態が良いということ。

登録基準(v)：ラウマ旧市街は、北欧の伝統的な集落の変遷が見られ、木造の建造物が並ぶ傑出した都市であるという点。

ラウマ旧市街は、一度焼失してしまったものの、住民によって再建され、木造の建築物と北欧独自の都市構造がそのまま残るという点で評価されています。

世界遺産登録基準
基準	内容
登録基準(iv)	北欧独自の都市構造を持ち、再建された建造物も保存状態が良い
登録基準(v)	北欧の伝統的な集落の変遷が見られ、木造の建造物が並ぶ傑出した都市