ビルカとホーヴゴーデンとは？世界遺産についての解説

スウェーデンの世界遺産一覧
世界遺産名	登録年	登録区分	場所	概要
ドロットニングホルムの王領地	1991	文化遺産	ストックホルム郊外	スウェーデン王室の離宮。バロック様式の庭園を持つ。
ビルカとホーヴゴーデン	1993	文化遺産	メーラレン湖	ヴァイキング時代の都市遺跡と王宮跡。
エンゲルスバーリの製鉄所	1993	文化遺産	ヴェストマンランド地方	17世紀から19世紀まで操業していた製鉄所。
スコーグスシュルコゴーデン（森の墓地）	1994	文化遺産	ストックホルム郊外	自然と調和した美しい設計の共同墓地。
ターヌムの岩絵群	1994	文化遺産	スウェーデン西部	青銅器時代の岩石線画群。
ハンザ同盟都市ヴィスビュー	1995	文化遺産	ゴットランド島	中世のハンザ同盟都市。城壁や倉庫などが残る。
ルーレオーのガンメルスタードの教会街	1996	文化遺産	ボスニア湾	15世紀に建造された石造りの教会と木造家屋群。
カールスクルーナの軍港	1998	文化遺産	ブレーキンゲ地方	17世紀に建造された海軍都市。要塞や教会などが残る。
エーランド島南部の農業景観	2000	文化遺産	エーランド島	石灰岩に覆われた不毛の平原に作られた農業景観。
ファールンの大銅山地域	2001	文化遺産	ダーラナ地方	13世紀から1992年まで操業していた銅山。
ヴァールベリのグリメトン無線局	2004	文化遺産	ハッランド県	世界で唯一稼動可能な高周波発電機式超長波送信機を備えている無線局。
シュトルーヴェの測地弧	2005	文化遺産	ノルウェーからウクライナ	地球の形状と大きさを測定するために設置された三角測量の一部。
ヘルシングランドの装飾農家群	2012	文化遺産	ヘルシングランド地方	18世紀から19世紀に建てられた伝統的な木造建築群。
ヘーガ・クステンとクヴァルケン群島	2000, 2006	自然遺産	ボスニア湾	氷河の融解に伴う土地の隆起が顕著に見られる地域。

1. ビルカとは何か

ビルカの場所と概要

ビルカは、スウェーデンの首都ストックホルムから西へ約29kmのメーラレン湖に浮かぶビョルケ島にあるヴァイキング時代の都市遺跡です。19世紀に発見され、その後の発掘調査によって、当時の生活の様子が明らかになってきました。ビルカは、8世紀後半から10世紀後半にかけて、ヴァイキングの交易の中心地として栄え、ヨーロッパ各地との交易を行っていたと考えられています。

ビルカは、ヴァイキングの交易拠点として栄えただけでなく、スウェーデンで最初の都市とも呼ばれています。当時のビルカには、城壁や港、住居、墓地などが存在し、ヴァイキングの社会や文化を理解する上で重要な遺跡となっています。

ビルカの概要
項目	内容
場所	スウェーデンのメーラレン湖のビョルケ島
時代	ヴァイキング時代
特徴	城壁や港、住居、墓地などが残る
発見	19世紀
重要性	ヴァイキングの社会や文化を理解する上で重要

ビルカの発見と発掘

ビルカ遺跡は、19世紀に発見されました。当時の発掘調査では、多くの建築部材や壁土など建物の遺構やコインや器などの遺物が発見されました。発見当時、この遺跡があった地域は黒土化（ビエーン）していることから「ビルカ」と名づけられました。

ビルカについての文字記録は、フランク王国の宣教師アンスカルの弟子リンベルトが875年以前に著した『聖アンスカル伝』に登場します。この記録によると、ビルカはシンクと呼ばれる民会で自治が行われていたこと、遠くオランダのドーレスタットなどと交易していたことが記されています。また、ビルカは要塞を有しており、外敵からの襲来に備えていたことも記されています。

ビルカがどこと交易していたかは、遺跡に無数にある墓からの副葬品で窺い知ることができます。ビルカ周辺の墓は少なくとも2000基程あることが判っており、そのうち1100基が発掘されています。副葬品は、西ヨーロッパから渡来したラインラントの壷や盃、フランクの宝飾品、アイルランドの青銅製品などがあります。また、それを購入するためのビルカ独自のコイン「ビルカコイン」も多数出土しています。

これらの発掘は9世紀の墓に集中しており、10世紀の墓からは副葬品自体が少なくなっているものの、東方のロシア、ヴォルガ川流域からの物産が見つかっています。10世紀末にはイングランドのエセルレッド王のコインがゲルマンコインがスカンディナヴィアで広く流通しているが、ビルカからは発見されていないため、980年以前にはビルカは消滅したものと考えられます。

ビルカの交易
交易相手	物産
西ヨーロッパ	ラインラントの壷や盃、フランクの宝飾品、アイルランドの青銅製品
東方	ロシア、ヴォルガ川流域からの物産
独自のコイン	ビルカ・コイン

ビルカの衰退

ビルカは、10世紀後半には交易都市としての地位を北の都市シグトゥーナに奪われ、やがて放棄されました。その理由は、はっきりとはわかっていませんが、ヴァイキングの勢力衰退や、新たな交易ルートの出現などが考えられています。

まとめ

ビルカは、ヴァイキング時代の交易拠点として栄えた都市遺跡であり、スウェーデンで最初の都市とも呼ばれています。8世紀後半から10世紀後半にかけて、ヨーロッパ各地との交易を行っていたと考えられています。ビルカは、ヴァイキングの社会や文化を理解する上で重要な遺跡であり、現在も発掘調査が進められています。

2. ビルカの歴史

ビルカの成立

ビルカの設立年代は不明ですが、8世紀後半の遺構が発掘されていることから、少なくとも700年代には成立していたと考えられています。ビルカは、城壁を巡らせた城郭都市で、9世紀から11世紀にかけて交易都市として繁栄しました。

ビルカは、城壁を巡らせた城郭都市で、9世紀から11世紀にかけて交易都市として繁栄しました。当時のヴァイキングは、喫水の浅い「ロングシップ」と呼ばれる船で、海や川を自在に航海し、現在のロシアからイギリス、アイスランドにかけて、ヨーロッパ各地を広く旅して貿易を行っていました。

ビルカの歴史年表
年代	出来事
700年代	ビルカの成立
9世紀～11世紀	交易都市として繁栄
10世紀後半	交易活動の停止と衰退

ビルカの交易

ビルカの交易の様子は、遺跡から発掘された副葬品によって明らかになっています。副葬品には、鉄や宝石、ガラス、絹、毛皮、香辛料など、ヨーロッパ各地や遠くはビザンツ帝国からの物産が含まれており、ビルカがヨーロッパの交易ネットワークの中心的な役割を果たしていたことを示しています。

ビルカでは、物々交換が基本でしたが、ビルカ・コインと呼ばれる独自の銀貨も使用されていました。ビルカ・コインは、ビルカが独自の経済圏を形成していたことを示す重要な証拠です。

ビルカは、9世紀から10世紀にかけて、交易都市として繁栄しましたが、10世紀後半には交易活動が停止し、やがて放棄されました。その理由は、はっきりとはわかっていませんが、ヴァイキングの勢力衰退や、新たな交易ルートの出現などが考えられています。

ビルカとキリスト教

ビルカは、ヴァイキングの交易拠点として栄えていましたが、9世紀には、南方のフランク王国から宣教師アンスガールが訪れ、スウェーデンのキリスト教布教の拠点となりました。アンスガールは、ビルカに礼拝堂を建てて宣教活動を行いました。

しかし、ヴァイキングたちは、北ヨーロッパ土着の神々を崇拝しており、キリスト教は一時的に広まったものの、定着には至りませんでした。10世紀後半には、ビルカは交易都市としての地位を失い、やがて放棄されました。

まとめ

ビルカは、8世紀後半に成立し、9世紀から10世紀にかけて交易都市として繁栄しました。ヴァイキングの交易拠点として、ヨーロッパ各地との交易を行っていましたが、10世紀後半には交易活動が停止し、やがて放棄されました。ビルカは、ヴァイキングの社会や文化を理解する上で重要な遺跡であり、現在も発掘調査が進められています。

3. ビルカの遺跡と文化遺産

ビルカの遺跡

ビルカの遺跡は、17世紀頃から発掘が行われ、城壁や塔、砦、港などの遺構が発見されています。軍事建築は石造ですが、家屋の多くは木造で、この地特有の黒土にその痕跡が残されています。

ビルカの遺跡で最も注目すべきは、3

ビルカの遺跡
遺構	説明
城壁	石造り
塔	石造り
砦	石造り
港	石造り
住居	木造
墓	3,000基以上

ビルカの文化遺産

ビルカの遺跡からは、当時のヴァイキングの生活や文化、交易の様子を垣間見ることができます。特に、墓から出土する副葬品は、当時のヴァイキングの社会や文化を知る上で貴重な資料となっています。

ビルカの副葬品
地域	物産
西ヨーロッパ	フランク王国の宝飾品、ラインラントの陶器
東方	中国のシルク、ビザンツ帝国の刺繍、イスラム教国のコイン
その他	鉄、宝石、ガラス、毛皮、香辛料

ビルカの保存状態

ビルカの遺跡は、その位置や環境、形状、デザイン、素材などが本物であり、真正性が保たれています。ビルカの遺跡は、ヴァイキングによって築かれた貿易ネットワークの際立ってよく保存された証拠であり、ネットワークはきわめて広範囲にわたり、2世紀のあいだ経済的・政治的影響力を行使しつづけた。

まとめ

ビルカの遺跡は、ヴァイキング時代の交易都市のもっとも完全で手付かずな証拠のひとつであり、8～10世紀におけるヴァイキングの交易都市のもっとも完全で手付かずな証拠のひとつである。ビルカの遺跡は、ヴァイキングの社会や文化、交易の様子を理解する上で重要な役割を果たしています。

4. ホーヴゴーデンとは

ホーヴゴーデンの場所と概要

ホーヴゴーデンは、スウェーデンのメーラレン湖に浮かぶアデルスユー島にある遺跡です。この島は、ヴァイキングが10世紀から11世紀にかけて占領し、スウェーデン王国の王領地のネットワークであるUppsala ödに含まれていました。

ホーヴゴーデンは、王宮の所在地として、隣のビョルケ島のビルカを見渡す行政上の中心地でもありました。ホーヴゴーデンには、バイキング時代以来の数千に及ぶ墓所があり、農民たちだけでなく、歴代の王族や豪族の墓もあります。

ホーヴゴーデンの概要
項目	内容
場所	スウェーデンのメーラレン湖のアデルスユー島
時代	ヴァイキング時代から中世
特徴	王宮跡、墳丘墓、ルーン・ストーンなどがある
重要性	スウェーデン王国の王領地として重要な役割を果たした

ホーヴゴーデンの歴史

ホーヴゴーデンは、8世紀頃から宮殿が築かれていたようです。王の生活の場であると同時に、行政の中心地でもあり、城壁や砦、港といったインフラのほか、行政庁舎や役人の木造住居の跡、墓などが発掘されています。

ホーヴゴーデンの特徴

ホーヴゴーデンには、ルーン文字を刻んだ「ルーン・ストーン」と呼ばれる石碑がいくつか発見されています。U11と呼ばれる港付近に置かれたルーン・ストーンは、11世紀のものと見られ、幅2.75m×高さ1.4mほどの花崗岩に文字を刻んだペトログリフ（線刻・石彫）となっています。

また、ホーヴゴーデンには、7基の墳丘墓があり、最大のものは直径45m・高さ6mに達します。これらは王墓と考えられていますが、内部は調査されていないので詳細はわかっていません。

まとめ

ホーヴゴーデンは、スウェーデンのメーラレン湖に浮かぶアデルスユー島にある遺跡で、ヴァイキング時代からスウェーデン王国の王領地として重要な役割を果たしてきました。ホーヴゴーデンには、王宮跡や墳丘墓、ルーン・ストーンなど、当時の様子を伝える貴重な遺跡が残されています。

5. ホーヴゴーデンの特徴

ホーヴゴーデンの建築物

ホーヴゴーデンには、13世紀にマグヌス・ラドゥロス王によって築かれた宮殿跡であるアルスノ・フスがあります。城壁や堀に囲まれた平面30×15m・2階建てのレンガと石造りの宮殿で、ここで王立会議が開催されました。14世紀に破壊され、土台が残されています。

ホーヴゴーデンの建築物
名称	説明
アルスノ・フス	13世紀に建造された宮殿跡。王立会議が開催された。
アデルソ教会	12世紀後半に建設された教会。王家の教会であり、教区教会だった。