定款とは?経済用語について説明

定款の項目と種類
項目	種類	説明
商号	絶対的記載事項	会社の名称。株式会社の場合は「株式会社」を含む必要がある。
目的	絶対的記載事項	会社が営む事業の内容。事業目的の範囲外の事業を行うと無効になる可能性がある。
本店所在地	絶対的記載事項	会社の住所。設立登記の場所や裁判の管轄場所となる。
設立に際して出資される財産の価額または最低額	絶対的記載事項	会社設立時に出資される金額。会社の財産存在を示すために必要。
発起人の氏名または名称および住所	絶対的記載事項	会社設立を企画する者の氏名と住所。会社の背景を示すために必要。
発行可能株式総数	絶対的記載事項	会社が発行できる株式の総数。設立後に株式を発行することを考えれば、会社に見合わない過剰な発行可能株式総数を定款に記載すべきではない。
現物出資	相対的記載事項	金銭以外の財産を出資する場合に記載する。
財産引き受け	相対的記載事項	会社設立時に、発起人以外の者が財産を引き受ける場合に記載する。
発起人が受ける報酬、その他の特別の利益	相対的記載事項	発起人が会社から報酬や利益を受け取る場合に記載する。
株式会社の負担する設立に関する費用	相対的記載事項	会社設立にかかる費用を誰が負担するかを記載する。
株式譲渡制限に関する規定	相対的記載事項	株式の譲渡を制限する場合に記載する。
事業年度に関する定め	任意的記載事項	会社の会計期間を定める。
株主総会の議長の定め	任意的記載事項	株主総会の議長を定める。
取締役などの員数	任意的記載事項	取締役などの員数を定める。
役員報酬	任意的記載事項	役員報酬を定める。
株主総会の招集時期	任意的記載事項	株主総会の招集時期を定める。
名義書換手続き	任意的記載事項	株式の名義書換手続きを定める。

1. 定款の基本概念とは

定款とは何か？

定款とは、会社を設立する際に必須となる書類のことです。会社を組織として成り立てるためにさまざまな規約をまとめたものであり、会社の憲法とも呼ばれています。定款には、会社の名称、代表者、住所、事業内容といった基本事項が記載されています。定款は、会社設立時だけでなく、会社経営にも欠かせない要素の1つです。

定款は、会社を設立する際に発起人全員の同意のもとで作成する、会社の規則が記された書面のことです。会社を運営していくにあたっての基本ルールが詰め込まれており、「会社の憲法」とも呼ばれています。

会社を設立する際に作られる最初の定款を、原始定款といいます。原始定款はその後、内容に変更を加えることが可能です。たとえば会社の名前や役員の決め方を変更した場合には、その都度新しい内容を反映させる必要があります。

定款の目的は、会社の基本的なルールを明らかにしておくことです。役員の任期や選任方法、あるいは株式の取り扱いといったことについて、明文化しておくことで内外にしっかり認知させる役割を持っています。

定款の種類
種類	説明
紙の定款	従来から一般的な定款。
電子定款	近年普及している定款。印紙代が不要になるなどのメリットがある。

定款の必要性

定款の必要性は、前項「定款の目的」と連動するものです。会社の基本的なルールを関係者がしっかり把握するために、定款という形で明文化しておくことが必要となります。

たとえば新たに会社の株主になった者は、株主総会で会社の運営方法について提案する権利を有する場合があります。このとき、現在の会社の運営方法が把握できなければ、そもそも改善案を作れません。

会社関係者が会社のあり方を考えるうえで、定款というルールブックは必要不可欠となります。

定款は、会社運営の基本ルールを定めるためと、予期せぬトラブルを未然に防ぐためです。公証役場で定款を提出し認証を受けることで定款は効力が発生します。有効になった定款は会社設立の登記が完了後は会社運営の基本ルールとしての役割を果たします。また、会社間のみではなく、株主や経営者間にも効力を発揮します。何かの行き違いや異なる主張が生まれた場合、定款によってルールを定めておけばスムーズに治めやすく、また、会社で起こる可能性のある株式取引などの金銭的トラブルからも会社を守ることにつながります。

定款の種類

定款は、紙で作成するのが一般的でしたが、最近では電子で作成することも可能になりました。ここでは、紙と電子、それぞれの作り方について説明します。なお、紙・電子どちらでも使えるひな形は日本公証人連合会「定款記載例」にて公開されています。

作成するにあたって、まずはどのような規模感の会社にするのかを決めましょう。会社規模によって記入項目に少なからず差があります。定款の記載事項の決まりは変わりませんが、フォーマットの項目の細かさなどに影響があるため、記載する前に考えておきましょう。

下記は日本公証人連合会が公開している、定款の記載例になります。

紙で定款を作成する場合、特に記載内容以外の決まりはありません。電子定款は修正もしやすく、はじめての作成の際には特におすすめです。ただし、電子定款には、必要な専用機器もあり、所持していない場合には購入しなければいけません。

まとめ

定款は、会社を設立する際に必須となる書類であり、会社の憲法とも呼ばれています。定款には、会社の名称、代表者、住所、事業内容といった基本事項が記載されています。

定款は、紙で作成するのが一般的でしたが、最近では電子で作成することも可能になりました。

定款は、会社設立時だけでなく、会社経営にも欠かせない要素の1つです。

2. 定款の重要性とは

定款の目的

定款は、会社運営の基本ルールを定めるためと、予期せぬトラブルを未然に防ぐためです。公証役場で定款を提出し認証を受けることで定款は効力が発生します。有効になった定款は会社設立の登記が完了後は会社運営の基本ルールとしての役割を果たします。

また、会社間のみではなく、株主や経営者間にも効力を発揮します。何かの行き違いや異なる主張が生まれた場合、定款によってルールを定めておけばスムーズに治めやすく、また、会社で起こる可能性のある株式取引などの金銭的トラブルからも会社を守ることにつながります。

定款はその他にも、助成金の利用、法人口座の開設、行政機関への各種申請の際に提出を求められることがあります。

定款の必要性

会社関係者が会社のあり方を考えるうえで、定款というルールブックは必要不可欠となります。

定款の作成費用

作成にかかる費用は、紙の定款にするか電子定款にするかで異なります。紙の場合は40

株式会社の場合は、完成した定款を公証人役場で認証してもらう必要があるので、30

定款は会社のルールを記したものであり、内容は会社ごとに異なりますが、自由な書き方をしてよいわけではありません。「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類が設定されており、これらをベースに作成することになります。

ここではそれぞれの事項について、具体的に解説します。どのような項目がどのカテゴリに入るのかを把握しておきましょう。以下の解説をしっかり読み込んで、イメージをつかんでおきましょう。

定款作成にかかる費用
項目	費用
印紙代	紙の定款の場合40,000円
認証手数料	株式会社の場合30,000円程度
電子定款	印紙代が不要

まとめ

定款は、紙で作成するのが一般的でしたが、最近では電子で作成することも可能になりました。

定款は、会社設立時だけでなく、会社経営にも欠かせない要素の1つです。

3. 定款の内容とは

絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、文字通り、定款に必ず記載しなければならない事項のことです。絶対的記載事項が抜けている場合、定款全体が無効となるので注意してください。

絶対的記載事項は、以下の5項目です。

順番に見ていきましょう。

会社を設立して、具体的にどのような事業をおこなうのかを決めます。目的を明記する理由としては、「取引の安全性の確保」が挙げられます。事業の目的が明らかでないと、取引先から見て素性のわからない会社になってしまうからです。

絶対的記載事項
項目	説明
目的	会社が営む事業の内容
商号	会社の名称
本店所在地	会社の住所
設立に際して出資される財産の価額または最低額	会社設立時に出資される金額
発起人の氏名または名称および住所	会社設立を企画する者の氏名と住所
発行可能株式総数	会社が発行できる株式の総数

相対的記載事項

相対的記載事項とは、なくても法的に問題はないものの、記載しなければ効力が発生しない事項を指します。

代表例としては「株券を発行する旨の定め」があります。株券を発行しないときはなんの言及も必要ありませんが、発行するのであればその旨を記しておかなければ、会社は株券を発行できません。

相対的記載事項は、主に以下のようなものがあります。

任意的記載事項とは、上記2つのどちらにも当てはまらないもので、かつ法的に正当な記載事項のことです。

相対的記載事項
項目	説明
現物出資	金銭以外の財産を出資する場合に記載する。
財産引き受け	会社設立時に、発起人以外の者が財産を引き受ける場合に記載する。
発起人が受ける報酬、その他の特別の利益	発起人が会社から報酬や利益を受け取る場合に記載する。
株式会社の負担する設立に関する費用	会社設立にかかる費用を誰が負担するかを記載する。
株式譲渡制限に関する規定	株式の譲渡を制限する場合に記載する。

任意的記載事項

相対的記載事項と違う点は、定款を使わずとも、ほかの手段で明確にしておけば効力が認められるところです。

任意的記載事項の例としては、以下のようなものが挙げられます。

定款は作成しただけでは効力がありません。株式会社の場合は、公証役場で認証を受ける必要があります。

定款を公証役場に持ち込み、各施設に必ず1人以上は在籍する公証人に認証を依頼します。

任意的記載事項
項目	説明
事業年度に関する定め	会社の会計期間を定める。
株主総会の議長の定め	株主総会の議長を定める。
取締役などの員数	取締役などの員数を定める。
役員報酬	役員報酬を定める。
株主総会の招集時期	株主総会の招集時期を定める。
名義書換手続き	株式の名義書換手続きを定める。

まとめ

定款は、紙で作成するのが一般的でしたが、最近では電子で作成することも可能になりました。

定款は、会社設立時だけでなく、会社経営にも欠かせない要素の1つです。

4. 定款と契約の違いについて

定款と約款の違い

定款とは「会社の根本規則」について書かれたもので、会社の最も重要な規則を定めたものとなります。

約款（やっかん）とは契約条項のことです。「会社と個人が契約する際の取り決め」のようなものです。売買に関していえば、当事者は誰なのか、売買代金はいくらか、いつ支払えばいいかなどの内容を纏めたまとめたものになります。

約款も定款も、「守らなければならない決まりごと・ルール」という類似した意味合いを持っていますが、定款は「組織を運営するためのルール」を意味しています。一方で、約款は「契約する時のルール」を意味しているという違いがあります。

定款と契約の違い

定款は、紙で作成するのが一般的でしたが、最近では電子で作成することも可能になりました。

定款は、会社設立時だけでなく、会社経営にも欠かせない要素の1つです。

定款と規約の違い

定款は、紙で作成するのが一般的でしたが、最近では電子で作成することも可能になりました。

定款は、会社設立時だけでなく、会社経営にも欠かせない要素の1つです。

まとめ

定款は、紙で作成するのが一般的でしたが、最近では電子で作成することも可能になりました。

定款は、会社設立時だけでなく、会社経営にも欠かせない要素の1つです。

5. 定款の作成手順と注意点

定款の作成手順

まずは定款を作ることから始まります。すでに解説したように、定款は会社のルールをまとめたものであり、既定のフォーマットに沿ってしっかりと固めておく必要があります。

絶対的記載事項は必ず決めなければいけませんが、相対的記載事項と任意的記載事項は、この時点では必須ではありません。

定款はあとからでも変更できるので、最低限の項目のみ定めて会社をスタートさせ、様子を見ながら細かな部分を決定していくのも戦略の1つです。

定款の作成が終わったら、定款の認証手続きをおこないます。これは株式会社の場合にのみ必要な工程で、持分会社を設立するときには認証を受ける必要はありません。

定款作成の手順
手順	説明
定款の作成	会社のルールをまとめた定款を作成する。
定款の認証	株式会社の場合、公証人役場で定款を認証してもらう。
出資の履行	会社設立前に、資本金を実際に拠出する。
機関の設置	取締役や代表取締役を決定する。
設立登記の申請	法務局で法人登記の手続きを行う。

定款の認証

定款の認証は、公証人役場でおこなわれます。必要な書類としては、以下のようなものが挙げられます。

また認証には手数料が発生します。資本金の額に応じて30

定款の認証が終わったら、出資の履行と機関の設置をおこないます。

出資の履行とは、会社の原資である資本金を発起人などが実際に拠出し、指定の銀行口座に収めることを指します。会社設立前に、全額の出資が履行されていなければいけません。

定款認証に必要な書類
書類	説明
定款	会社設立時に作成した定款。
発起人全員分の印鑑証明書	発行日から3か月以内のもので、発起人全員分が必要。
発起人全員の実印	定款に押印する。
実質的支配者となる人物の申告書	経営を司る個人を申告する。
定款の謄本	設立登記申請用。

会社設立登記

最後に設立登記の申請をおこないます。設立登記は自分たちの手でおこなうこともできますが、添付書面が多く煩雑な作業となるため、専門家である司法書士に依頼するのが通例です。

法務局で法人登記の手続きが終わると、登記事項証明書が届きます。この証明書が法人として認められた証拠であり、この時点で会社の設立は完了となります。

定款の内容を決定するのは時間のかかる行為なので、すべて外注で済ませたいと考えることもあるかもしれません。

しかし「定款を外注する」というとき、通常は定款の内容をすべて外部の人間に決めてもらうことではなく、アドバイスを受けることや、認証などのプロセスを任せることを指します。

まとめ

定款は、紙で作成するのが一般的でしたが、最近では電子で作成することも可能になりました。

定款は、会社設立時だけでなく、会社経営にも欠かせない要素の1つです。

6. 定款変更のプロセスとポイント

定款変更の手続き

定款は1度作成したら終わりではなく、その後の都合に応じて変更することも可能です。

ただし、無条件にいくらでも変更できるわけではありません。たとえば株式会社の場合、定款を変更するには株主総会の特別決議が必要となります。

特段の定めがない場合、株主総会の特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を得る必要があります。

定款の変更手続き自体には、費用はかかりません。あらためて公証人役場へ行って認証してもらう必要もありません。

定款変更の決議要件
変更内容	決議要件
商号、目的、公告方法の変更、株式の譲渡制限規定の廃止等の定款変更	株主総会の特別決議
株式の譲渡制限規定の設定の定款変更	株主総会の特別決議（議決権の3分の2以上の多数）
株主ごとに異なる取り扱いを行う旨を定める定款変更	総株主の半数以上で合って、総株主の議決権の4分の3以上に当たる多数の賛成
全部の株式を取得条件付株式とする定款変更	株主全員の同意

定款変更の登記申請

ただし変更と同時に登記する必要のある事項については、登記のほうで費用が発生することに注意してください。たとえば会社を移転する場合などが該当します。

実際に変更手続きをする流れは、以下のとおりです。

変更にかかる費用は、登記申請不要であれば無料です。登記申請をする場合には申請1件で３万円の「登録免許税」が必要となります。ただし、本店移転の場合のみ別途３万円が必要です。そのため、その他の変更と本店移転がある場合には、各3万円で計６万円が発生します。

さらに、支店所在地の変更には別途9千円がかかります。もし自分で行わずに司法書士に依頼した場合には相応の報酬が必要となり、大体2～7万円程度の費用が追加で必要となるでしょう。

変更登記申請に必要な書類
書類	説明
定款変更申請書	変更内容を記載した申請書。
株主総会議事録	定款変更の決議内容を記載した議事録。
株主リスト	株主の氏名、住所、議決権数を記載したリスト。
登記費用用の収入印紙	3万円の登録免許税を支払うために必要。